• 검색 결과가 없습니다.

2000.10 金融調査情報 20−5 (2008.10.15) 海外経済調査レポート No.11 S C B S C B

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

Share "2000.10 金融調査情報 20−5 (2008.10.15) 海外経済調査レポート No.11 S C B S C B"

Copied!
16
0
0

로드 중.... (전체 텍스트 보기)

전체 글

(1)

視点

近年、景況感の改善から、にわかに人手余剰感に替わって人手不足感が台頭し、企業の新卒 採用数が回復してきている。また、足下の我が国景気には先行き不透明感があるものの、長期 的には、人口の減少と、それを上回るペースでの労働力人口の減少が避けられない状況にあり、

人手不足が懸念されている。信用金庫や銀行も、近年まで新卒採用抑制による雇用者自然減を 図ってきたことから、全体の人手不足はもちろん、行職員のいびつな年齢構成がもたらす問題 などがにわかに顕在化していると予想される。

そこで、人手不足感の有無と対応状況について、規模や立地条件の異なる複数の信用金庫や 銀行に聞取り調査を行い、紹介することとしたい。

要旨

• 信用金庫・銀行の正職員数の推移をみると、90 年代半ば以降、07 年度末までにピークと比 べて約3、4割減少している。日銀短観における金融機関の雇用人員 D.I.もこの3年、人 手不足を示しており、マクロ統計からは、金融機関は人手不足と推察される。

• 金融機関にヒアリングを行うと、職員数でみた全体観では人手不足感はないが、営業店で の不足感、30 歳代半ばといった特定の年齢層での総合職の不足感がある。さらには専門性 のある人材は、ノウハウの内部蓄積が乏しい分野もあり、人数は少数だが不足感がある。

• 中堅の融資・渉外担当者の不足は目先、新卒採用拡大による対応となるので熟練ノウハウ の不足が残る。最近ではこれを中途採用で補う金融機関も出てきた。新卒採用では都市部 で競合が強まり、信用金庫は遠方への転勤がなく地域貢献など地域性をアピールしている。

• 専門分野の人材は、都市圏は運用、投信・保険窓販、システムなど他業態等からの中途採 用を進めるところが多いが、地方や中小の金融機関は、特定職員の長期滞留で対応してい る。バーゼルⅡ対応やリスク管理については、総じて内部育成の方針である。

• 事務部門の人手は、業務効率化とパート・派遣職員の増加で対応しているが、マネジメン トが難しい。総合職の中途退職も若干だが増加しており、働きやすさへの意識も高まった。

• 中途採用者や非正規職員等を効果的に活用するためには組織内部における「多様性への対 応力」と多様性を乗り越えて団結できる核となる理念の確立が必要である。

キーワード

渉外比率の低下 エリア重視 地域貢献 中途採用 中途退職 多様性

海外経済調査レポート No.11

S C B

2000.10 金融調査情報

20−5

(2008.10.15)

〒103-0028 東京都中央区八重洲 1-3-7 TEL.03-5202-7671 FAX.03-3278-7048 URL http://www.scbri.jp

S C B

信用金庫と銀行の人手不足感と対応状況

総合研究所

(2)

はじめに

バブル崩壊後、久しく、我が国経済の人手余剰感は強く、企業は新卒採用抑制などに より雇用者の自然減を図り続けてきた。しかし、近年、景況感の改善から、にわかに人 手余剰感に替わって人手不足感が台頭し、企業の新卒採用数が回復してきている。足下 の我が国景気の先行き不透明感の高まりから、人手不足感が再び低下する可能性がある ものの、長期的には労働力人口の減少が避けられない状況にあり、人手不足問題が懸念 されている。

信用金庫や銀行も、近年まで新卒採用抑制による雇用者自然減を図ってきたため、近 年の貸出増、業務の多様化、高度化などにより、にわかに全体的な人手不足問題はもち ろん、雇用者のいびつな年齢構成がもたらす問題などが表面化してきたものと思われる。

そこで、人手不足感の状況やそれがもたらす問題の有無と対応策について、規模や立 地条件の異なる複数の信用金庫や銀行に聞取り調査を行い、紹介することとしたい。

1.信用金庫と銀行の人手不足に対する現状認識

(1)信用金庫と銀行の正行職員数の推移 信用金庫と銀行について、その正行職員数 の推移をみると、信用金庫の場合は(図表1)、

男女合計でみて、70 年代まで増加傾向をたど った後、80 年代を通じて 94 年度までほぼ横ば い、その後は 06 年度まで減少傾向となり、07 年度には 13 年ぶりに前年度比増加に転じたも のの、72 年度の水準まで減少している。07 年 度はピークである 94 年度比で 29.3%減であ る。男女とも合計とほぼ同傾向になっている。

目次 はじめに

1.信用金庫と銀行の人手不足に対する現状認識

(1)信用金庫と銀行の正行職員数の推移

(2)分野別の人手不足感∼信用金庫と銀行への聞取り調査 2.人手不足への対応策と課題

(1)新卒採用

(2)中途採用

(3)業務革新と非正規職員採用

(4)中途退職対策その他 おわりに

(図表1)信用金庫の正職員数の推移

(備考)信金中金総合研究所作成

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000

53 56 59 62 65 68 71 74 77 80 83 86 89 92 95 98 01 04 07 職 員 合 計 ( ① + ② )

男 性 職 員 ①

女 性 職 員 ②

( 人 )

( 年 度 末 )

(3)

2 銀行の場合もほぼ同様で(図表2)、

男女合計でみて 70 年代半ばまで増加傾 向をたどった後、93 年度末から 06 年度 まで減少傾向となり、07 年度末に若干増 加したものの、近年のピークである 93 年度末比で 38.1%減、実に 63 年度末の 水準まで減少している。信用金庫も銀行 も、90 年代半ばのピークから 07 年度末 までに正行職員数が約3、4割減少した ことになる。

そうした状況を映してか、日本銀行の 全国企業短期経済観測調査(日銀短観)

における金融機関の雇用人員 D.I.(「過 剰」−「不足」)の推移をみても(図表 3)、信用金庫・系統金融機関は、05 年 第3四半期以降、ほぼマイナス(雇用人 員不足)で推移している。銀行は、それ より 1 年前の 04 年第3四半期から、マイ ナス(雇用人員不足)で推移しており、

06 年第4四半期をボトムに改善傾向に

あるものの、依然、信用金庫・系統金融機関を上回る不足状態を示している。

このように、マクロ統計を見る限り、信用金庫と銀行は、現在、人手不足の状況にあ ると推察される。

(2)分野別の人手不足感∼信用金庫と銀行への聞取り調査

次に、個々の信用金庫や銀行は実際に人手不足であると感じているのかどうか、人手 不足であると感じるのは、どのようなタイプの人材なのかをみていくこととしたい。

人材については、例えば以下のようなタイプを考えることができる。

①一般事務など比較的短期の研修で即戦力化可能な人材

②信用金庫や銀行の融資渉外や審査など、中心業務において業務経験を積んで熟練 したプレーヤー(主に役席者層や入社5年超の職員を想定)

③投信・保険窓販、有価証券運用、バーゼルⅡ対応やリスク管理、システムとい った、近年の新規業務分野や技術革新の速い分野で専門性を有する人材

そこで、本稿では、執筆に先立ち、9信用金庫、1メガバンク、3地域銀行に人手不 足感についての聞取り調査を実施した。対象金融機関を預金・積金残高規模(5,000 億 円以下と 5,000 億円超)と、本店所在地(3大都市圏、その他県庁所在市、その他市の

(図表2)全国銀行正行員数の推移

(備考)1.全国銀行には都市銀行、地方銀行、第二地銀、信託銀行、

新生銀行、あおぞら銀行を含む(旧来は都市銀行、地方 銀行、第二地銀、信託銀行、長期信用銀行に相互銀行を 加えたもの)。

2.全国銀行協会資料より作成

(図表3)金融機関の雇用人員 D.I.の推移

(備考)日銀資料より作成

-30 -20 -10 0 10 20 30 40

03.4 04.1 2 3 4 05.1 2 3 4 06.1 2 3 4 07.1 2 3 4 08.1 2 信用金庫・系統金融機関

銀行

(年・期)

0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000

61 63 65 67 69 71 73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07

(人)

(年度末)

(4)

別)に分類すると図表4のとおりで ある。

イ.全体の人手不足感

意外にも、全体としては、職員数 で み て 「 取 り 立 て て 不 足 感 は な い。」という意見が大半だった。

しかし、人数は絞っているので、営業店では人手不足感が強いという声は多く、渉外 比率が低過ぎるという声もあった。営業店が恒常的に人手不足である場合、顧客の苦情 や顧客とのトラブルにつながる恐れがあると指摘する向きもあった。また、個別分野で は人手不足感や質、レベルの物足りなさがあるという話であった。新卒採用数の増減に よって年齢構成がいびつとなっている点を問題視する向きも多かった。もっとも、営業 店での人手不足感についても、「近年、営業店職員の減少傾向が続いたことによる感覚 的な意見であり、繁忙期を基準に言ってくるので、ならしてみて不足かどうかは判らな い。」といった声や、「そもそも客観的な適正人員がわからないので判断が難しい。」

といった意見もあった。事務の機械化・効率化の効果も加味しなければ判断できないと いう意味である。

さらには、近隣の金融機関に比べ、職員1人当たり預貸金残高が少ない、OHRが業 界平均より高めであることなどを理由に、経営の視点からは人手不足とはいえないとい う意見もあった。見る基準や立場で人手不足感にもバラツキがみられる。

本部業務の拡張傾向から人手不足感を意識している信用金庫についても、収益の問題 もあり簡単に人は増やせないとしている。残業時間が多い部署と少ない部署の二極化が 進んでおり、業務執行の方法に問題があるのではないかとの指摘もあった。

ロ.熟練中堅プレーヤーの人手不足感

次に、前述の中心業務において業務経験を積んだ熟練プレーヤーの人手不足感をみる

(図表5)。過去に新卒採用を継続的に抑制した時期があったことから、特定の年齢層 の総合職が不足している。しかし、具体的な年齢層になると、予想していた 30 歳代半 ばという声ばかりでなく、下は 20 歳代後半から上は 40 歳代後半まで、各信用金庫・銀 行の過去の新卒採用状況等により、事情は様々であった。金融システム危機にあった 2000 年前後より、むしろバブル期の売り手市場で思うように新卒を採用できなかった 時の影響が大きいという銀行もあるようだ。

ただ、30 歳代の層の不足は、人手不足の問題ばかりでなく、別の問題も引き起こし ている。管理職と若手を結ぶこの中堅層の不足は、若手に対するOJT不足をもたらし ている。OJTの不足が若手の戦力化の遅れをもたらすほか、人手不足、訓練不足の下 での過大な業務負荷がプレッシャーとなって、若手のメンタルヘルスを悪化させる恐れ

(図表4)聞取り調査対象金融機関のタイプ別分類

預金・積金残高(2008 年3月末)

本店所在地

5,000 億円以下 5,000 億円超 3大都市圏 2金庫、1銀行 3金庫、2銀行 その他県庁所在市 1銀行 1金庫

その他市 2金庫 1金庫

(備考)1.3大都市圏とは、ここでは首都圏(東京都、神奈川県、

埼玉県、千葉県)、中京圏(岐阜県、愛知県、三重県)、

近畿圏(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和 歌山県)を指す。

2.信金中金総合研究所作成

(5)

4

もある。また、この不足感のある層を、融資渉外等の業務に集中させるためもあり、店 舗内の事務効率化や事務センターへの本部集中化などが図られた結果、営業店で事務処 理に携わる機会が大きく減少している。そのような機会を得られないまま、支店次長や 副支店長に昇進した場合、店舗事務に対する知識や理解の不足から、稟議書の作成や検 印など内部業務の管理に支障をきたすことがあるようだ。

(図表5)熟練中堅プレーヤーの人手不足感に対するコメント

03 年から 07 年まで人員削減で新卒採用を絞った。その影響で男子総合職は 20 歳代後半 の層が薄くなっている。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

20 歳代後半は男女とも人数が少ない。30 歳代の渉外担当者、融資担当者は層が厚く、切 羽詰って補う必要はない感じだ。

その他県庁所在市・5,000 億円超の銀行

総合職は 20 歳代後半から 30 歳代前半が少ない。新卒採用が最も細った 01∼02 年入行の 28∼29 歳の層が最も少ない。

3大都市圏・5,000 億円超 の銀行

30 歳代前半の融資担当や渉外担当が不足しているという感じがある。02∼03 年度の水準 に渉外人員が戻ってしまった。全体が回復したにも関わらず渉外人員が回復していない。

そこを新卒で補ったため、渉外担当の低年齢化が進んだ。それをみる係長が 40 歳くらい で、間の 30 歳代の層が薄い。そのため、リスク商品の販売や融資で若手に過度のプレッ シャーをかけても問題があるので積極的な推進ができない。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

新規採用を絞っていた 30 歳代前半の層が不足している。一方、40 歳前後のいわゆるバブ ル世代は余剰となっている。

3大都市圏・5,000 億円超 の銀行(メガバンク)

30 歳代半ばの中堅、次長代理が相対的に手薄だ。 その他市・5,000 億円以下 の信用金庫

職員全体に占める 30 歳代の渉外のところの構成比が低めである。 その他県庁所在市・5,000 億円以下の信用金庫 30 歳代後半が若干少ない。今の次長職レベルと下の年齢層の間が空いてしまっている。 その他市・5,000 億円以下

の信用金庫

過去 10 年間、採用を絞った結果、30 歳代後半の中堅が不足している。 その他市・5,000 億円以下 の信用金庫

近隣の銀行、信用金庫が強く、当行はバブル期の売り手市場で十分採用できなかったこと から、40 歳代の特に後半が、新卒採用が少なく構成比が低くなっている。

3大都市圏・5,000 億円以 下の銀行

(備考)信金中金総合研究所作成

ハ.専門分野で専門性を有する人材の人手不足感

前述の専門分野で専門性を有する人材の人手不足感についてみると、図表6のような コメントが集まった。

(図表6)専門分野で専門性を有する人材の人手不足感に対するコメント

有価証券運用や投信窓販の分野と、バーゼルⅡ対応やリスク管理などの分野で不足感があ るが、前者は若干名を中途採用し、後者は内部育成している。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

保険窓販対応やネットバンキング業務対応で不足を感じ、専門家を中途採用した。バーゼ ルⅡ対応やリスク管理などの分野では専門部署を設置し、内部育成している。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

有価証券運用やリスク管理、システム関連は少数の戦力部員の長期滞留でやりくりしてい る。システムについては中途採用を行ったが、他は内部育成している。

3大都市圏・5,000 億円以 下の信用金庫

有価証券運用の人手不足感については、3人ほど中途採用を行った。監査やリスク管理の 分野も1名ずつ中途採用したが、基本的に、投信・保険窓販やバーゼルⅡ対応・リスク管 理担当者は外部研修などを活用して、若手を内部育成している。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

投信・保険窓販については、現在は渉外担当者が他業務と共にすべて行うフルバンキング であるが、専門性の高まりから専担制度の設置を議論している。

その他市・5,000 億円以下 の信用金庫

投信・保険窓販、有価証券運用、バーゼルⅡ対応やリスク管理、システムなど人手は必要 だが、当金庫は収益優先でやっており、中途採用はやり難いため、内部育成する。

その他市・5,000 億円以下 の信用金庫

(6)

投信・保険窓販、有価証券運用、バーゼルⅡ対応やリスク管理、システムなどで人手不足 感がある。総合職の内部育成を考えており、中途採用は考えていない。

その他県庁所在市・5,000 億円以下の信用金庫 投信・保険窓販、有価証券運用、バーゼルⅡ対応やリスク管理、システムなどは担当する

本部が高齢者中心で若手が少ない。投信窓販と有価証券運用は中途採用した。リスク統括 部はプロパーだが増員を計画している。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

営業店の人手についても、困ったという声が先行しているが、本部も若干人手不足であ り、自然減が続いているため新規増員が必要な場合は大変だ。投信・保険窓販については、

職員にゼネラリスト養成の一環として経験させている。バーゼルⅡ対応やリスク管理につ いては、内部の特定職員の長期滞留による専門性向上を図る。

その他県庁所在市・5,000 億円超の銀行

専門性の高い分野では専門家の中途採用を実施しているが、投信・保険窓販は自然体で取 り組んでいるので若干名である。

3大都市圏・5,000 億円超 の銀行

(備考)信金中金総合研究所作成

図表6では、コメントのある 10 金融機関はみな、専門分野の人材についてなにがし かの不足感を持っており、そのうち、6金融機関が何らかの中途採用を行っている。比 較的、投信・保険窓販や有価証券運用業務において中途採用事例が多く、バーゼルⅡ対 応やリスク管理については内部育成で対処するという声が多い。

表中にはないが、あるメガバンクからは、こうした分野の専門家については、どの銀 行でも不足感があるのではないかとの声が寄せられた。この銀行自身、新聞紙上でこう した専門分野の中途採用広告を出している。

ニ.一般事務の人手不足感

この分野については、不足感があるというコメントはほとんどなかった。多くの金融 機関は、事務効率化やパート・派遣社員の活用により、不足感の全部または一部を解消 していると解される。また、新卒職員も、熟練プレーヤーとなるまでの間は一般事務の 人手としても期待されており、20 歳代後半が少ないその他県庁所在市・5,000 億円超の 銀行の場合、新卒も一般事務での戦力化に2、3年かかることを踏まえても、あと2、

3年すれば、近年の新卒採用増の効果が現れ、一般的な人手不足が解消するとしていた。

2.人手不足への対応策と課題

(1)新卒採用

イ.新卒採用の意義と問題点

人手不足の解消策としてまず挙げられるのは、新卒採用の拡大である。崩れかかかっ てきたとはいえ、まだまだ国内金融機関は終身雇用制のもとで、新卒採用とゼネラリス ト育成を前提とした人事ローテーションを人事政策の中心に据えている。また、この仕 組みを通じて、新入社員をOJT中心で長期育成することで組織内の構成人員の長期安 定化を図り、固有の企業文化を維持発展させてきた。そこで、国内金融機関は往々にし て人手不足の際に新卒採用を拡大し、余剰の際は縮小してきた。

しかし、その一方で、この方法では抜本的解決とはならない。融資渉外や審査などの 中心業務において、業務経験を積んだ熟練プレーヤーとしての 30 歳代が不足している

(7)

6

場合、それを新卒採用で補おうとしても、新人が熟練プレーヤーに育つには5年、10 年の月日がかかる。現在の熟練プレーヤーの不足は、過去における新卒採用の不足が原 因であるが、その抜本的解決は難しいので、タイムラグを承知で新卒採用の拡大を図っ ているというのが実情だろう。そして、これを繰り返す以上、景気変動の影響を受けて 職員の年齢構成がいびつとなってしまう問題に悩み続けることになる。

ロ.新卒採用状況と採用上の工夫

まず、新卒採用の状況をみると(図表7)、3大都市圏やその他県庁所在市の金融機 関は、互いに競合が激しく、辞退率も高く追加内定が多数必要となってきている。その ためか、採用希望数を確保できても、質の面で物足りないと感じているようである。そ れに比べて人口の少ない、その他市を地盤とする信用金庫は、採用数が少なめなことも あり、近年の地元志向の高まりを受けて採用しやすくなっている。

次に、新卒採用における留意点・学生にアピールする点等をみると(図表8)、地元 の大学での就職説明会の積極的な実施が挙げられよう。ただ、地方では信用金庫業界で まとまって説明会を行うケースもあるが、3大都市圏では業界内での競合も多く、採用 活動における協力は難しいようだ。それでも、学生に共同で信用金庫業界全体をアピー ルしていくことの意義は、取材先の多くの信用金庫が認識していた。最近の学生はネッ

(図表7)新卒採用状況に関するコメント

地元就職希望の学生も多く、毎年一定数の新規採用は確保できる。ただし、良い人材は地 元銀行との奪合いとなる。最近はゆうちょ銀行も競合先として登場してきた。

その他市・5,000 億円超の 信用金庫

地域柄、メガバンクと競合するが、希望採用数を充足している金庫から希望する人数の6 割しか採用できない金庫まで状況はまちまちである。メガバンクと同じタイミングで採用 活動を進めた金庫は、内定者の質も高いが辞退率も高い。逆に、メガバンクよりタイミン グを遅らせれば共に低くなる。辞退率6割という金庫もある。

ある地区の信用金庫協会 の研究会の内容等

近年、採用数を増やしているが、採り難いとは感じていない。信用金庫や金融の志望者が 採れている。ただ、業界内でも競合はあるので、何を学生に訴えていくかが課題。また、

採用担当者のスキルの問題もある。

3大都市圏・5,000 億円以 下の信用金庫

新卒採用は銀行など他業態との競合も厳しいが、業界内の競合も厳しい。3月内定者はみ な優秀だが、本採用への歩留まり率が悪い。5月内定者の方は歩留まり率が良い。5月に はメガバンクが採用を終えているからだろう。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

この数年、学生の地元志向が強いこともあり、他の金融機関と新卒採用上の競合も少ない。 その他市・5,000 億円以下 の信用金庫

新卒採用数は年々増加させている。地元の銀行、信用金庫と競合し、特に男子学生の奪合 いとなる。内定辞退率も4割前後まで上昇してきた。

その他県庁所在市・5,000 億円以下の信用金庫 新卒採用は信用金庫や銀行との奪合いになる。メガバンクや地銀の採用数も増えている。

数は取れるものの、早期内定者から辞退者が出て追加内定を出すことになり、採用者が固 まるまでに時間がかかる。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

当金庫の地元は都市部であるため、学生の選択肢は多い。新規採用に関してネットを通じ た学生の問合わせが殺到する一方、辞退率も高いため、それと追加内定とのいたちごっこ となる。地元の銀行や強豪他金庫と競合するため、思った人が採れない。

3大都市圏・5,000 億円以 下の信用金庫

新規採用は一時期減っていたが、近年はその最低数の2倍超採用している。 3大都市圏・5,000 億円以 下の銀行

新卒採用は近年増加してきたが、近隣他行が採用を控えてきたため採用は楽だった。それ がここにきて、奪合いが激しくなってきた。

その他県庁所在市・5,000 億円超の銀行

(備考)信金中金総合研究所作成

(8)

ト志向で新聞を読まない人も多いので、ネットの活用を重視するという声もあった。

学生にアピールしていく点としては、信用金庫も地域銀行も、もっぱら地元勤務で遠 方への転勤がなく、地域貢献に努めている点などであった。信用金庫業界内で競合した 場合、エリアを重視し、学生の住所で棲み分けている場合が多い。エリア内での雇用創 出自体が地域貢献であるといえよう。もっとも、近年は競合が激しく、採用数の増加と 共にそれもやりにくくなったという声もある。なお、協同組織性のアピールについては、

(図表8)新卒採用時における留意点・学生にアピールする点等

学生には信用金庫の特色をアピールし、銀行との違いを理解してもらう。中小企業との親 密な関係、非営利、協同組織、地域貢献といった考えに共鳴する学生も多い。

その他市・5,000 億 円超の信用金庫 地元の信用金庫は互いに良い人材を奪い合っている面もあるため、採用活動を共同で行う

ことは難しいだろうが、信用金庫業界を共同でアピールしていくこと自体は重要。

3 大 都 市 圏 ・ 5,000 億円超の信用金庫 地域密着で大きな異動はなく、通勤時間も短いこと、金融機関としての安定性などをアピ

ールする。結果的に理系や他業種志望の人も広く採用している。

3 大 都 市 圏 ・ 5,000 億円以下の信用金庫 採用活動で地域貢献や社会貢献への共感を示す学生は多い。地域フォーラムの開催や環境

問題への対応など、信用金庫業界の特徴が志望者にアピールしている面もある。多くの学 生が職場の環境や雰囲気を重視しているので、内定前の学生に支店の様子を見せている。

3 大 都 市 圏 ・ 5,000 億円超の信用金庫

地元県で金融機関に限らず地元企業による合同説明会を実施した。産学提携している地元 大学で地元の信用金庫合同の説明会も行った。採用はエリア内に実家がある学生を優先す る。学生の志望動機に地域貢献を挙げるケースが多い。協同組織性よりも地域性が受ける。

その他市・5,000 億 円以下の信用金庫

新卒採用は 100%地元であり、十分確保できている。市役所と並んで優良就職先なのだろ う。信用金庫同士で競合する場合、学生の住所と金庫のエリアの一致を重視する。県内国 立大と地元県立大で説明会を行ったが大半は地元私立大と他県大学からのUターン組だ。

その他市・5,000 億 円以下の信用金庫

新卒採用に当り、地元大学への訪問を増やし、説明会を開催する。最近の学生は新聞を読 まないので、学生への連絡にネットも活用する。採用パンフレットも独自に作成した。学 生には信用金庫の歴史、意義、役割をアピールした。営業エリア内で採用することが地域 貢献であると考える。

その他県庁所在市・

5,000 億円以下の信 用金庫

業界内で競合した学生の採用に関し、その住所で棲み分けることが難しくなった。大都市 部にエリアの飛び地的に支店があるため、遠方からの応募も増えてきた。個々の大学での 会社説明会や商工会主催の就職説明会にも参加している。学生には地域貢献や地元で働け るという地域性のほか、株式会社と異なる信用金庫の特徴を説明している。この地域では 学生へのアピールに効果があるようだ。

3 大 都 市 圏 ・ 5,000 億円超の信用金庫

今の学生は、必ずしも規模や給与ではなく、自らのキャリアアップにつながる仕事を提供 してくれる会社を選択しているようだ。地銀や上位信用金庫を辞退して当金庫に入庫する 人もいる。現代はネット社会であるため、学生へもネットを活用した情報提供は必要だが、

大量の情報が行き交い、学生は知識として知っていても実感として分かっていない。その 点を突いて、人の心に訴えるものを持ち、それへの共感者を集めていくのは採用も営業も かわらない。また、規模の小さい組織は、トップの意思が浸透しやすく、機動的な路線転 換が可能で、各職員も参画しやすい。

3 大 都 市 圏 ・ 5,000 億円以下の信用金庫

現在も合同会社説明会に参加し、県内の大学で就職セミナーを行っているが、量は確保で きても質の面で物足りない。ネットを通じて遠方からの応募もあるが、当行は県内にしか 支店がないので9割以上県内採用である。学生は自宅から通いたい人や全国転勤を放棄す る人が集まる。学生も地域貢献への関心が高いようだ。

3 大 都 市 圏 ・ 5,000 億円以下の銀行

地元中心に近県エリアの人を採用している。最初は自宅から通えるところから配属する。

アピールする際は、財務健全性、地域密着、地域貢献、人材育成体制などである。地元の 大学でガイダンスを行うほか、東京の大学へも説明に行く。Uターン志向の大学生に加え、

県内に住んだ経験があるなど、県内へのIターンを志向する学生を採用している。

その他県庁所在地・

5,000 億円超の銀行

当行のエリアは広めであるが、自宅から通える範囲の店舗への配属を前提としているので ある程度店舗網のバランスが取れるように採用している。遠方への転勤がないことのほ か、新人は店舗当たり 15 人超の大店舗には配属しないため、チームとしてのまとまりを評 価してくれる学生も多い。

3 大 都 市 圏 ・ 5,000 億円超の銀行

(備考)信金中金総合研究所作成

(9)

8

その有効性を認める信用金庫もあったが、特に言及しない信用金庫もあった。

さらには、職場内の雰囲気、本人のキャリアアップのために価値ある勤労機会の提供、

小規模組織としての機動性、経営路線への各職員の参加意識の高さなどをアピールする というコメントもあった。

なお、新卒採用者の育成という観点からは、より多くの業務が経験できるよう、最初 の配属は、10人前後の小規模店舗にするという声が、信用金庫、銀行共に挙がった。

信用金庫が地域密着型金融機関として、地域と共存共栄していくには、「地域のため に」、そういう行動を実践できる地元愛(郷土愛)の強い学生を採用するのが順当であ り、その方途として地域性をアピールすることが有効であろう。一方で、信用金庫がそ の協同組織性に立脚した事業運営を追求していく以上、銀行との差別化を図っていく上 で協同組織についてのアピールを学生に対して行って、協同組織への理解を求めていく ことが有意義であろう。

しかし、調査結果では、地域性ほどは訴えかけていない様子がみられる。信用金庫の アイデンティティの希薄化、銀行との同質化を示すものとすれば、注意する必要がある。

(2)中途採用

新卒採用では人の数は補えても、業務に関する知識と経験は補えない。これらを備え ている必要な年齢層の行職員を外部から素早く補う方法として、中途採用がある。

専門性を有する人材を中途採用している金融機関は、図表6でみたように、3大都市 圏で多い。求める専門領域は、主に投信・保険窓販とシステムの分野であって、バーゼ ルⅡ対応やリスク管理分野は内部育成で対応するという声がもっぱらであった。一方、

地方の信用金庫では、中途採用はしない、できないという声もみられた。特に、有価証 券運用担当者の中途採用をしない、できないという例は、そもそも、その関連業務に多 くの人を割けない、割くのは合理的ではないと考える金融機関1に多くみられた。しか し、特定の業務を限られた人員で行う場合、1∼2人の経験者に業務経験とノウハウが 集中し、その人の異動が難くなるという問題が生じやすい。担当者の部門滞留期間が長 いために金融庁検査等で指摘されるリスクも懸念される。ただし、この問題については 別の金融機関から、職場離脱実施やその他の管理体制の徹底強化を行えば、担当者が長 く異動しないことのみをもって指摘されることはないというコメントがあった。システ ム関連業務などでも同様に担当者の部門長期滞留の問題が挙げられていた。

図表6と重複のない範囲で、中途採用に関するコメントを整理すると(図表9)、融 資渉外や審査、それらを含む営業一般については、中途採用による補充は難しいとする 信用金庫がある一方、3大都市圏などでは、中途採用している信用金庫や銀行もあった。

1 例えば規模の小さい金融機関は、大手の生保、信託のように多様な資産クラスに国際分散投資するのに十分な資産規模がない。

そうした比較的小規模資産を満期が短めの国債などに運用先を限って安全運用していれば、価格変動リスクや流動性リスクも低 く、リスク管理担当者も多くなくて済むはずである。

(10)

証券、保険経験者を中途採用したが、やはり、銀行業務経験者が望ましいとする例や銀 行業務経験者の採用にこだわっている例もあれば、20歳代半ばの他業種勤務経験者を広 く社会人経験者として採用している例もある。

システム関係の中途採用の例では、専門分野での専門性の高さというより、専門性と あわせて金融分野の知識、金融実務への理解が求められるので、こうした知識、理解が 乏しい場合は、若手を採用することが望ましいとのことであった。

中途採用の難しさはニーズと採用者の経験・能力とのミスマッチのリスクにあるとい われるが、それに加えて、カルチャーの合わないリスクを指摘する声も多い。即戦力性 の有無と並んで、自行庫のカルチャーになじむかどうかが重視されているのである。

前述のように、新卒採用のみでは、組織内の人員の年齢構成のいびつさは解消できな い。不況期の新卒採用の減少を経て、好況期入りした際に業務経験のある中堅職員の不 足を補うためには、やはり、不足する年齢層か少し若い層の経験者の中途採用が即効性 のある方法である。しかし、中途採用の問題点は、その年齢層の新卒採用の時期が不況 期であれば、どの金融機関も採用数を絞り込み、一つの金融機関が中途採用したい年齢 層の行職員は、どの金融機関も不足している恐れがあるため、十分な数の金融機関業務

(図表9)中途採用に関するコメント

大卒レベル職の 35∼40 歳代の中堅層が当金庫では不足しており、証券、保険から4∼5 人採っているが、やはり銀行業務経験者が望ましい。

その他市・5,000 億円超の 信用金庫

融資渉外や審査などの経験を積んだ中堅職員については、中途採用による補充は難しい。

店舗渉外は業務範囲が広く、また、不祥事が起きると挽回しにくいためである。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

中途採用は4年前から少しずつ進めている。最初は出向者として受け入れ、転籍してもら う。保険窓販対応など新分野では、内部育成では時間がかかるので、中途採用も継続的に 行っていくことになろう。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

システム関係の分野で職員の固定化が進んでおり、若手もいないため、中途採用している が、条件面が問題となる。また、金融の仕事の内容を知らずにシステム開発の経験が豊富 だとしても即戦力にはなりにくい。むしろ、システム経験があるという程度の若手に、金 融業務になじんでもらうぐらいのほうがよい。ミスマッチの問題があるため、紹介派遣者 を中途採用している。

3大都市圏・5,000 億円以 下の信用金庫

20 歳代後半の層が少なく、30 歳代の層も薄めなので、20 歳代半ばを中途採用で補充した。

他業種等の勤務経験者の採用なので、社会人経験があるという意味で即戦力採用である。

地元企業十数社とハローワークとの連携による合同就職説明会を実施して採用してい る。職種を営業に限定し、試用期間3か月の間に外回りは除く預金、融資など一通りの業 務を経験させ、その後の面接を経て本採用となる。8、9割は本採用となるが、新卒に比 べて離職率が高く、ミスマッチも多いので、今後は無理して採らない。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

カルチャーの合わないリスクがあるので中途採用は考えていない。 その他県庁所在市・5,000 億円以下の信用金庫 新規業務への対応では、他業態からの中途採用も手ではあるが、カルチャーは業界内も含

めて各社みな異なるため、特に中小は、内部育成で対応すべきだ。有価証券運用の担当者 を例に考えても、ここでは信用金庫の存在意義、目的を踏まえた運用が求められる。運用 原資は個人の大事な預金であるということを十分理解した内部職員の育成しかない。

3大都市圏・5,000 億円以 下の信用金庫

中途採用は、システム関係者などは6か月の紹介派遣を通じて採用しているものの、他は ほとんどせず、新卒採用で対応している。中途採用応募者のプライバシー度の高い情報は 調べられないし、本人にも聞き難い。

3大都市圏・5,000 億円以 下の銀行

2004 年から融資担当者の中途採用を開始した。なじんでくれそうで、即戦力性のある人 を採用したい。採用数を増やしたいが、金融機関経験者を採用したいので少数となる。

3大都市圏・5,000 億円超 の銀行

(備考)信金中金総合研究所作成

(11)

10

経験者を中途採用するのは容易ではない。それを補うためには、異業種経験者を中途採 用のうえ教育する必要があり、そこでの工夫が中途採用の成否を分けよう。さらに、中 途採用者は、専門家・専門職の色彩が濃く、また、当然のことながら異なる企業文化や 価値観を有している。したがって、人事戦略上、積極的な中途採用を志向するのであれ ば、多様な経歴の行職員を受け入れる多様なキャリアパスと、多様な価値観を受け入れ る企業文化を備えていく必要がある。一方でそれは、新卒採用とその終身雇用ででき上 がった組織が持つ均一性と統率力という強みを失うことも意味する。加えて、中途採用 者の増加は、職員の転職に対する抵抗感の低下をもたらす部分もあり、その流動化も促 すことになろう。

一方で、単に多様性を認め、受け入れるだけでは組織が無秩序化し、崩壊してしまう 恐れがあることにも注意しなければならない。多様性を乗り越えて皆が結束できる組織 の各となるべき理念を確立することもまた大切である。

中途採用という方法を採る場合、これらの点にも留意すべきであろう。

(3)業務革新と非正規職員採用

人手不足対策としては、業務革新による省力化も方法の1つとして挙げられよう。た だ、これは実際には、バブル崩壊以降の不良債権問題対策として人員リストラを迫られ た金融機関が、それを可能とするために人手代替手段として実施した側面が強い。積極 的な人手不足対策というよりリストラ対策であった。どの金融機関も事務の機械化、本 部や集中センターへの事務集中化、母店・子店制の導入などを通じ、営業店の負荷や人 手の軽減を図っている(図表 10)。しかし、中には、集中化したものの、業務総量減 少により、集中センターの稼働率が低下して不効率を招いているといったことや、母 店・子店制導入に伴う顧客の不満の発生、渉外担当者の業績評価の複線化が必要となる など、問題点等を指摘するコメントもあり、足下、サブプライム住宅ローン問題を契機 とした内外景気の後退懸念はあるものの、近年の景況感の好転を受けた見直しや反省も 行われているようである。さらに、図表 10 にはないが、融資・渉外担当も含め、広く 営業店の人手不足を軽減する方法として、店舗統廃合を挙げる向きもあった。職員 10 人の1店舗を廃止して、周辺店舗に1人ずつ異動させれば、10 か店の人手不足感が軽 減できるというものである。合併後に店舗網の見直しを進めていない場合には、こうし た方法も検討の俎上にのぼろう。

また、パート職員、派遣職員といった非正規職員の活用も広く行われている。非正規 職員数は正職員の2割前後にのぼり、店舗事務人員としては正職員とほぼ半々となる例 が多い。対象としては、やはり即戦力性が期待できることから自金庫経験者、銀行業務 経験者や広く金融機関経験者が望ましいとする声が多い。それに限らず広く募集してい る例もあるが、一般の事務経験者の場合は継続率が悪いという意見があった。

パート職員の比率が高まると、マネジメントが難しくなるとする指摘もあった。9時

(12)

∼17 時勤務など勤務状況が正職員と余り変わらないため、その点を配慮し、1年の契 約更新時ごとに時給を上げている例や、正職員への転換制度を設ける例もみられる。た だ、転換制度については、どれくらいのレベルを転換の合否ラインにしていいかわから ないため導入を見送っている例や、パート職員の方が勤務状況の自由度が大きい場合に 転換申請者が出ないこともある。逆に、パート職員の勤務時間が 15 時、16 時までで残 業もない取決めであれば、繁忙期の残業が少数の正職員に集中してしまうなどの問題も 出ている。他にも、正職員を絞りすぎればOJTで指導する余力がなくなるなどの問題 を指摘する向きもあった。

このように、業務革新はその前提が崩れれば非効率に転じる面もある。事後の環境変 化を正しく捉え、業務プロセスを刻々と見直していくことが必要であろう。また、勤務 条件が必ずしも正職員と同じではない非正規職員の活用もまた、中途採用の項目で述べ たような組織としての多様性への対応が必要となることに留意すべきである。

(図表 10)人的省力化につながる業務革新についてのコメント

事務処理については、サポートセンターグループを事務部内に設置して事務を集中させて いる。営業店の事務負担を減らすことが狙いだ。

その他市・5,000 億円超の 信用金庫

近年、全店に顧客の待ち順番表示機を設置した。一方、母店・子店制の導入は何回となく 検討したが実施には至っていない。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

一部事務の本部集中により人的負担は軽減できる。事務の機械化も進めている。 3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

事務の本部集中により人件費ともども人員を圧縮してきた。店舗人員 20 名のところを 15 名に、15 名のところは 10 名に減らした。

3大都市圏・5,000 億円以 下の信用金庫

集中事務センターによる事務集中化を進めてきたが、それが不効率につながる恐れもあ る。大量の事務を扱う集中事務センターでは、センターの内部で分業化、専業化が進む。

そのため、当初より事務総量が減ってくると、内部の分業チームごとに稼働率が 50%を 切るところも出てくる。また、受付事務に特化した店頭応対者の方の稼働率も低下する。

各チームとも正職員は1、2名で、残りはパート職員なので、今のところパート職員の時 間調整で対応できているが、難しい。事務集中化に合わせて母店・子店制を導入したが当 初の9グループを7グループに減らした。自分の取引店舗が子店となった顧客は、来店時 に馴染みの渉外担当者や支店長に会い難くなったことを不満に思うようになった。今後は 顧客接点を増やすつもりであり、必要に応じて母店・子店を普通店に戻していく。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

機械化、具体的にはATMの活用による業務の効率化を考えている。また、母店・子店制 をとっているが、勘定をどうするかといった問題がある。渉外担当者がフルバンキングと リテール特化に分かれるため、その評価基準をどうするかなど人事制度にも影響が出る。

その他市・5,000 億円以下 の信用金庫

母店・子店制や、2か店の支店長兼務店を導入し、今後も増やしていく。本部に事務部門 を集中し、稟議システムの導入で紙ベースからパソコンとなった。渉外担当者1人1台パ ソコンが装備され、顧客ごとの投信取引管理もパソコン1台で可能になるなど事務効率化 が進んでいる。ただ、導入当初、50 歳以上でパソコンに対応できない職員もでてきた。

その他県庁所在市・5,000 億円以下の信用金庫

本部への事務集中化を行った。不良債権の集中化で不動産担保の評価の見直しや債務者区 分の見直しの作業も効率化している。回収も本部の債権管理部に集中し、営業店の負荷を 軽減している。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

事務集中化は、本部での事務量を増加させ、ある程度支店から人を持ってくる形となって いる。また、集中化しても支店の事務量も時間と共に増えている。

その他県庁所在市・5,000 億円超の銀行

システム導入などの機械化と集中センターへの事務集中化を実施した。 3大都市圏・5,000 億円超 の銀行

(備考)信金中金総合研究所作成

(13)

12

(図表 11)非正規社員採用についてのコメント

これまで、パート職員によって人員を確保してきたが、高い接客技術を持つテラーとなっ てもらうためには、正社員として採用して教育訓練を重ねていく必要があるため、そうし たテラーは現状、不足している。

その他市・5,000 億円超の 信用金庫

店舗の事務課の仕事は、正職員の2割弱に相当する 130 人の非正規職員も対応している。

店舗事務は平均で総勢5人。うち3人が正規一般職、2人が非正規職員であり、将来は半々 になろう。ただ、非正規職員の増加でマネジメントが難しくなる面がある。非正規職員の 採用を停止したり、初めから受け入れていない信用金庫もある。昨年の秋口は、派遣社員 でも確保できない時期があったが、条件面の改善により確保できるようになった。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

店舗事務について、事務プロセスの効率化に合わせて派遣社員による補充も進めている。

全職員の1、2割くらいだ。小規模店舗で総勢8人中2人が派遣社員だ。事務担当者3、

4人中の1、2人ということになる。

3大都市圏・5,000 億円以 下の信用金庫

退職した女性職員の穴をパート職員で埋めてきたが、即戦力となる経験者中心であった。

県内大手地銀出身者もいる。これらパート職員の仕事は女性職員と変わらないため正職員 への転換制度を設けたが、実際には転換申請者はいなかった。パートが自由だからか。

その他市・5,000 億円以下 の信用金庫

事務集中化に伴い、正職員の1割相当にパート職員が増えた。パート職員は、質の問題は あるものの女性の応募者が十分集まる。9時∼17 時勤務で状況が正職員と大差ないた め、1年の契約更新ごとに時給は上げている。1週間休暇をパート職員にも与え、コンプ ライアンス研修にも参加してもらっている。パート職員の正職員への転換制度について は、転換させるレベルをどこに置いたらいいかが難しい。

その他市・5,000 億円以下 の信用金庫

女性の退職者はパート職員で補っているが、自金庫経験者だけだと足りない。一時は一般 事務経験者を職安を通じて採用したが、結局、辞めるケースが多かった。やはり、広く金 融機関の事務経験者の方が、継続率が高い。しかし、あまり集めて、小型店舗での事務担 当者が正職員とパート職員の半々になると、パート職員は残業がなく、15 時から 16 時に は帰るので、合計人数が同じでも、繁忙期の残業が正職員に集中する。そこで、パート職 員の多い店舗に新人を配置している。結局、正職員を絞りすぎるとOJTで指導する余裕 がなくなり、人材育成にも支障が出てくる。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

事務担当者は最低限の確保が必要であり、重視している。女性の採用については、関連の 派遣会社を通じてパート行員が急増し、現在正行員の 22.3%にのぼる。自行経験者の再 雇用制度は作ってみたが実績はない。パート行員から3人、正行員に転換した。

3大都市圏・5,000 億円以 下の銀行

派遣行員は人数が少ない。パート行員は自行経験者優先だが、外部の人も多い。外部の人 はバックオペレーションを中心に配属される。

その他県庁所在市・5,000 億円超の銀行

事務対応の人員については、システム導入などの機械化と集中センターへの事務集中化の ほか、パート社員、派遣社員の増員で対応してきた。関連会社に人材派遣会社があるため、

もっぱら派遣社員が多い。自行経験者に限らず、オープンに採用している。

3大都市圏・5,000 億円超 の銀行

(備考)信金中金総合研究所作成

(4)中途退職対策その他

近年、若手職員の中途退職が増加しており、入社3年で3割などという数字も踊る。

30 歳代の中堅職員にもみられ、それまで教育研修や経験を積ませてきた金融機関サイ ドにも大きな痛手となる。人手不足の裏側に、中途退職者の増加があり、その対策も検 討が求められる。中途退職者の転職先には(図表 12)、家業のほか異業種や市役所な どに加えてメガバンク、保険などの金融他業態も並ぶが、金融他業態への転職の場合は 処遇面での格差もその理由となっているようだ。他にも、本人が金融機関への適性を疑 問視し始めたこと、入社前のイメージと現実とのギャップなどが理由に挙げられている。

3大都市圏に本店を有する金融機関の多くが中途退職対策についてコメントを寄せた ことは、都市部ほど人材流動化が進んでいることの表れであろう。

中途退職者の増加の背景には、ドライな若手職員の増加、成果主義の浸透に伴う現場 でのコミュニケーション不足や一体感の希薄化による職員のストレスの増加、そうした

(14)

状況を緩和するための支店長、管理職クラスのフォローの欠如などが指摘されている。

そのため、業務インフラの整備など働きやすい職場環境の整備、働き甲斐やモチベーシ ョンの付与、各種休暇制度の整備充実、若手職員の要望や意見を吸い上げる仕組みづく りなどの事例が見られる。成果主義の大胆な見直しを行った銀行や、優秀な人材の他行 への転職を防ぐため、役席者への早期昇進機会を設けた銀行もある一方、若者気質の変 化を踏まえ、研修や人事管理の方法を見直す必要があるという指摘もある。

(図表 12)中途退職についてのコメント

職員の中途退職が問題となっている。教育投資をしてきた 20∼30 歳代の退職は痛手だ。

家業を継ぐというのならいいが、入庫前のイメージと現実とのギャップが退職の原因とな っているのではないか。支店長などのフォローがうまくいっていないと退職に至る。営業 店のマネジメントの難しさだ。現場では、その時々の本部の推進案件が最優先になり、顧 客ニーズの有無に関わらず短期に件数などの結果が求められる。そこで、支店長と中堅と のコミュニケーションが重要となるが十分でない恐れがある。結局、中途退職問題が職員 のやりがいやワークライフバランスなどの問題につながる。理事長と若手職員との対話の 席では、最後は人事制度や手当ての話が出る。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

若手の中途退職自体は、当金庫は新卒採用がなかった分、離職率も少なかったが、最近、

世間一般には新入社員の退職率は3年3割という話もある。今後、新卒採用を増やしてい く際には、こうしたことも念頭に入れて採用しなければならないかもしれない。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

全体の生産性向上のため、中途退職を抑制する施策も必要であろうが、日常業務に追われ ており、ワークライフバランスの面には取り組んでいき難い。

3大都市圏・5,000 億円以 下の信用金庫

中途退職者はいるにはいるが、必ずしも多くない。若者が精神的に弱くなってきたという 気がする。女性職員については、産休、育休の利用者が増えてきており、結婚=退職では なくなってきた。子供が小学校に上がるまで短時間勤務の制度も導入している。本部でも 店舗でも最初は利用しにくい雰囲気であったが、慣れるとみなが利用するようになった。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

30 歳代後半が若干少ないのには、中途退職の影響もある。地元の異業種への転職者や、

県外に出て行く人もいた。4年勤めた後、メガバンクに中小企業融資担当として転職した 人は、転勤をいとわないという。県外大学を出たUターン組みで地元以外を知っているの も理由であろう。他に、県内市役所への転職、不動産業の開業、実家の農業の手伝いや、

入って1年働いたが合わなかったなどの理由もあった。

その他市・5,000 億円以下 の信用金庫

多くはないが、中堅クラスが他行に転職していった。3、4人はメガバンクに移った。昔 に比べてOJTによる育成が不十分だ。また、成果主義の弊害か、ドライな職員が増えて いる気がする。年2回は人事部が各支店でヒアリングを行い、職員の意見を吸い上げてい る。福利厚生を充実させ、年収も地元第二地銀に追いついてきた。パソコンなどのインフ ラを整備し、休暇制度も充実させた。育児休暇、出産休暇、年間 3 日間の子育て支援休暇 のほか、地元のイベント支援などを目的とした年2日間の地域貢献特別休暇制度を作っ た。職員満足度の向上に今後も努めたい。

その他県庁所在市・5,000 億円以下の信用金庫

中途退職者は保険会社や一般事業会社などに転職していった。主に、入庫したものの向か なかったという 30 歳ぐらいまでの人である。若者もドライになったのだろうが、最近は 親も転職を止めないようだ。

3大都市圏・5,000 億円超 の信用金庫

3年経つと退職者が出てくる。理由を聞くと、「本当は金融が第一志望ではなかった。」

と告白されたりする。来年から「ゆとり世代」が入ってくるが、競争心や自発性が弱いの ではないか。研修の方法も変えていく必要を感じている。若い人にメンタルヘルスのチェ ックも入れている。メガバンクの中途採用で何人か転職していった。労働条件全般とはい っても、給与水準の差は大きいだろう。そこで人事制度の変更により、通常勤続8年で役 席となるところを、速い人は5年でなるようにし、いい人材の引留めを図っている。また、

成果主義も重要だがプロセスを重視し、長期に積み上げて行く活動を促す。ボーナスは、

かつては成果で 100%決まっていたが、成果のウエイトを 25%まで落とした。

3大都市圏・5,000 億円以 下の銀行

中途退職者は昔より増えた。若い人は入行後3∼5年までで定着すれば安定するが、やは り3年で3割といわれる状況もある。学生が就職活動時に描いたイメージと就職後の実態 の間にギャップを感じるからだろうか。モチベーションの付与、仕事の意味づけが重要で ある。女性はやはり結婚退職が多い。

3大都市圏・5,000 億円超 の銀行

(備考)信金中金総合研究所作成

(15)

14

なお、女性職員の中途退職は、産休、育休取得の浸透により減少してきたという指摘 もあるが、その他の休暇制度の充実については、まだまだ取得率等の動向をみないと評 価できないとの声もある。

また、詳細は取り上げないものの

定年退職者の雇用継続制度や定年延長を行ってい る金融機関もある。これには、比較的層の厚い50歳代のノウハウを、層の薄い若手に伝 達するという狙いもある。この層は、支店長や部長の経験者など、現管理職にとって昔 の先輩、上司にあたる方々が多く、一緒に働きにくいと考える現管理職も少なくない。

その結果、監査部や事務部での業務プロセス見直し担当、預貸金業務の事務指導や支援、

審査部など本部での債権回収、営業推進部などの本部スタッフ、歩合給の年金専門職な どで雇用している例が多い。しかし、OB活用により事務管理や事務指導を手厚くしよ うとしても、現場サイドはぎりぎりの人員でやっており、研修時間を取るのが難しいと いう声もある。また、支店長や部長の経験者の処遇も難題であり、出向や社外転籍にし ているという金融機関もある。そうしたなか、60歳定年後の雇用延長が9割にのぼるそ の他県庁所在市・5,000億円以下の信用金庫の場合、55歳で役職離任し、基本給がまと まって減少した後もインセンティブを失わないように、5万円の手当てが付くマイスタ ー制度を取り入れている。また、極端な例であるが、40歳代の特に後半の層が薄い3大 都市圏・5,000億円以下の銀行では、支店長公募制で37歳の支店長を抜擢したほか、支 店長や部長に55歳以降の役職延長制度を導入して管理職不足を補っている。高齢者の活 用においても、職員の能力、長所・短所や性格、価値観などの多様性を前提とした対応 が重要であるといえるのではないだろうか。

一方、女性職員の戦力化については、ある3大都市圏・5,000億円超の銀行は、新卒 採用者はすべて総合職とし、一般職とのコース分けをしないとのことである。別の3大 都市圏・5,000億円超の信用金庫は、女性職員が年金渉外や集金渉外などに向いている との判断の下、これらの分野に特化した女性渉外の専門職制度を取り入れたが、現在で は廃止したそうであり、女性活用が定着するかどうかも様々である。

おわりに

新卒採用と組織内熟練という採用・研修制度が終身雇用制・年功制と連関していたこ とは言うまでもない。それが崩れ出したといわれて久しいものの、今でも、我が国企業 の人事制度の中核部分となっている。ただ、最初に述べた長期構造的な少子化のもとで、

今後もこれまでと同じような採用方法を取っていけるかどうか懸念する声も聞かれて いる。いわく、「これまでのように終身雇用制を前提として、もっぱら新卒採用者の長 期育成によって組織を維持していくのは難しいかもしれない。」と。

今後の人事戦略が新卒採用−終身雇用モデルのみで立ち行かないのであれば、中途採 用者、高齢者、女性職員など、多様なキャリア、多様な価値観・労働観を持った人材を 取り込み、気持ちよく働かせる仕組みが必要であろう。そのキーワードは、組織内部に

(16)

おける「多様性への対応力」と、多様性を乗り越えて皆が結集できる「団結の核となる 理念」ではないであろうか。

人事戦略は経営戦略の体現であるとともに、経営戦略を規定する組織戦略の根幹であ る点を考えれば、その経営戦略の方向がとりうる人事戦略を決めることになる。したが って、地方に立地し、規模も小さいが、地域密着型に徹し、規模のいたずらな拡大を望 まず、地域内でのプレゼンスの維持・向上を目指す信用金庫であれば、新卒採用と終身 雇用を維持する。そして、規制緩和で可能となった業務であっても、その地域の顧客属 性に沿って取捨選択し、地域密着を志向する企業文化を維持し、そのために絶対数は少 なくても、コンスタントな新卒採用とそれによる地域内での雇用創出に努めていくべき であろう。逆に、3大都市圏など都市部にあって、すでに一定以上の規模を有する信用 金庫の場合、競合するメガバンクなどの影響を受ける。一定以上の規模の維持、拡大を 図るためには中途採用者をはじめとする多様な人材の活用も必要となろう。しかし、そ の際には、前述のように、業務経験や文化、キャリアパス、勤務状況等の様々な多様性 に対応し、それを内包していくことが求められる。人事戦略は、個々の信用金庫の経営 戦略や現状規模に応じて選択されていくであろう。

以 上

(間下 聡)

本レポートのうち、意見にわたる部分は、執筆者個人の見解です。投資・施策実施等についてはご自身の 判断によってください。

참조

관련 문서

And then I have surveyed improvised poems, which emulated Kim Chang Heup( 金昌翕 )’s Improvised Poems in Kudzu

究である.基礎理論においては,未だ手探りのよう な研究が多かった

2008 年2月

22 收回投资所收到的现金 수회투자소수도적현금 투자자산의 처분 23 取得投资收益所收到的现金 취득투자수익소수도적현금 투자수익의 취득

自贡市 攀枝花 泸州市 德阳市 绵阳市 广元市 遂宁市 内江市 乐山市 南充市 宜宾市 广安市 达州市 巴中市 雅安市 眉山市 资阳市 阿坝州

金兰恩 Jīn Lán'ēn 吴财均 Wú Cáijūn 文栖珍 Wén Xīzhēn 秋宣荣 Qiū Xuānróng. 朴世熙 Piáo shìxī 金泌材 Jīn Bìcái

中国最美的十大峡谷 1.雅鲁藏布大峡谷 2.金沙江虎跳峡 3.长江三峡 4.怒江大峡谷 5.澜沧江梅里大峡谷 6.太鲁阁大峡谷

於二零二一年六月三十日,本集團之總借款包括銀行及其他借款及優先票據、關聯公司貸款